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刻み込まれた衝撃を胸にしまって

ダイワスカーレット引退


例えば、野球史上に残る天才スラッガーでありながら無冠に終わった清原和博を振り返るとき、記録だけを見ても彼の真の姿は浮かびあがってこない。
1994年開幕戦、野茂秀雄のノーヒットノーランを打ち砕くライトオーバーの2ベース。日本シリーズでの桑田からの3本のホームラン。2002年、若き松坂大輔へ挨拶代わりの看板直撃弾。
これらの身震いするような衝撃は、やはり同じ時代を生き、肌で体感しないと味わえないもの。

ダイワスカーレットが、屈腱炎のため引退した。

G1レース4勝を含む8勝、2着4回。生涯連対率100%を誇る彼女の鮮やかな戦績を記録として振り返っても、それはそれで素晴らしいものだけれど、やはり彼女の本当の姿は見えないのではないかと思う。

互いに切磋琢磨してきた良きライバルであるウオッカとの戦いは、2008年秋の天皇賞でクライマックスに達した。
わずか2センチ差で敗れたとはいえ、それまで自在にペースを操ってきた天才娘が、ペースを操れなかったこの休み明けのレースで最後に見せてくれた根性に、皆身体が震えた。
並みいる牡馬G1級の馬たちから一身にマークを受け、3コーナー過ぎから襲いかかる彼らをすべてなぎ倒した昨年のグランプリで、僕たちは驚きを通り越し、畏怖の念さえ覚えた。

長い競馬の歴史の中で、これまで数々の衝撃と感動を味わってきた競馬ファンさえ、「まだこれほどまでのサラブレッドがいるのか」と思わせるほどの馬だった。
やはり、全身で体感したこの「ダイワスカーレット」は、記録上には残らない。
同じ時代に生きられて、本当に良かった。

夢は広がっていた。
ドバイ、イギリス、アメリカ…。どこまでも続くものだと思っていた。

でも、サラブレッドは生き物だから、怪我をしたら走れない。

僕たちは、突然終息を告げられた夢(それは人間が勝手に思い描いていた夢だ)を、彼女のために、心にしまい込まなければならない。
頭と心を切り替えて、無念な思いを内に閉じ込め、これから母となり、やがて産まれてくるであろう彼女の息子や娘に、その夢は引き継げばいい。それぞれの思いを込めて。そもそもその夢だって、僕たちの勝手な浪漫なのだから。

だから、今はただ、ありがとうと言おう。
お疲れ様、と言おう。

そして、これからもまだ走るウオッカを見て、その強さを見て、ダイワスカーレットを思い出そう。
思い出すことができるなんて、とてもありがたいことなんだ。僕たちは同時代で、身体全身で、彼女の凄味を体感できた。その衝撃は、心と身体に刻み込まれている。だから、思い出せる。

そして、いつかやっぱり、お母さんの顔になった彼女に会いに行きたいな。



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